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2-1 月は語る

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箱星
著者
箱星
のんびり暮らしたい。

月が語りかける。

月は世界中を旅する。旅の先々で見たことを、月は伝える。

そんな素敵なお話を読んだ。本を閉じ、ふと月を見たくなった私は窓の外を見る。やさしい光。月は私に何を語りかけているのだろう。今まで気にしていなかったことが、注意を向けることで見えるようになる。視野が広がる体験が、私は好きだ。

明日は事務所に行く日だ。私が参加している数学アイドルユニットに関する打ち合わせがある。

数学アイドル。初日にそのような言葉を聞いて、意味が分からなかった。アイドルと聞いて想像していたものはもっと正統派なイメージだった。私がやるべきことは本当にこれでいいのだろうか。こんなことをして、友人との約束は果たせるのだろうか。不安になる。

いや、今から心配してもしょうがない。今日はゆっくり休もう。私はメガネを外して寝床に入った。