「おはようございます」
事務所に着いた私は挨拶をする。
「おはよー、菫ちゃん」彼女はひかり。学年は1つ下で、ダンス部に入っているらしい。
「今日は早かったね」
「うん。そういえば、菫ちゃんはどうしてアイドルになろうと思ったの?」
「私は友人の誘いでオーディションを受けたの。その子は落ちてしまったけど……」
「そうなんだ」
「ひかりはどうして?」
「私は動画を見てたら広告でこれを知ったんだ。はじめはスルーしてたんだけど、だんだん気になってきちゃって」
「広告で知ったのね。運命的な出会いだね」
「そうかな?」
「だってひかりはダンス部に入っているんでしょう?それに歌も好きだし、ぴったりよ」
「確かにそうかも」
ひかりと会話をした後、私はもう1人の存在が気になった。
「美悠はまだ来てない?」
美悠。学年は2つ下で、無口な子。まだどんな子なのかよく知らない。
「いるよ」ひかりは答えた。「ほら、あっちに」
ひかりの目線の先を見ると、部屋の隅のソファに美悠が座っていた。ヘッドホンを装着している。
「音楽を聴いてるみたい。話しかけてもいいのかな?」ひかりは私に尋ねた。
「邪魔しない方がいいかもね」
「そうだね」
私はひかりと会話を続けた。