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1-2 オーディション

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箱星
著者
箱星
のんびり暮らしたい。

アイドルオーディションの当日を迎えた。

このオーディションのことを知ったのは動画の広告だった。普段なら広告なんて気にしない。でも、なぜかこの広告は何度も目に入るうちに少しずつ気になるようになっていった。

あの日からアイドルのことが少しずつ気になり始め、アイドルの動画を見たり検索して情報を集めたりしていた。アイドルへの関心は日に日に大きくなっていき、ついに応募するに至った。

私は椅子に座って待っている。時間が経つにつれて緊張してきた。大丈夫、そう自分に言い聞かせていた。

名前を呼ばれた。私は返事をして、部屋に入る。部屋の中には男性が1人いた。

「では、自己紹介をお願いします」

「はい、初本(はつもと)ひかりです!高校2年生です!」

私は緊張しながらも、元気よく喋った。

「初本ひかりさんですね。あなたのアピールポイントを教えてください」

「はい。私はダンス部に入っていて、ダンスが大好きです。あと、歌うことも大好きで、友達とよくカラオケに行きます!歌もダンスも好きなので、アイドルにぴったりだと思います」

反応はよさそうだった。少しずつ緊張も解けていき、その後も順調に応答を続けた。もしかしたら合格できるかも?

そう思い始めたころ、飛んできたのは意外な質問だった。

「初本さんは、数学は得意ですか?」

「す、数学、ですか?」